春の企画展「戦傷をのり越えて描いた日々~水木しげる・上田毅八郎の軌跡~」が3月7日より始まりました。2015年11月30日に亡くなられた水木しげる(本名:武良茂)と、2016年6月18日に亡くなられた上田毅八郎、惜しまれながらこの世を去られた二人の戦傷病者への追悼の意を込めた企画展です。
 本展では、水木と上田の入営・出征から戦場での体験、そして受傷、復員後までを、お二人の作品や資料を交えながら紹介しています。中でも注目の資料は、当館では初公開となる水木しげるの戦傷病者手帳(複製)と、上田毅八郎が従軍中に右手で描いたスケッチです。


水木しげるの戦傷病者手帳(複製)

 戦傷病者手帳の発行日は昭和50年(水木53歳)ですが、写真に写る水木はとても若く見えます。おそらく写真を撮った時は30代~40代だったと思われます。また、右横を眺めるような恰好ですが、通常は真正面を向いて写るもので、写真から水木の性格が伺えます。
 漫画家・妖怪研究家として有名な水木しげるを、戦傷病者としての側面から見ることができる注目の資料です。


上田毅八郎が従軍中に右手で描いたスケッチ

上田毅八郎は、3年8ヶ月の従軍期間で26隻もの輸送船に乗り、その船の上から見える艦船を軍事郵便の裏にスケッチしていました。上官に見つかると制裁があるため、素早く描き、弾薬箱の中に隠したといいます。描くスピードが速いのはこの頃からだったのです。受傷後は、動かなくなった右手の代わりに左手で絵を描き練習を重ね、プラモデルの箱絵をはじめとした多くの作品を残していますが、この資料は受傷前に上田が右手で描いた貴重な作品といえます。

本展では、この他にもお二人にまつわる初公開の資料を展示しています。
皆様のご来館をお待ちしております。

 

 

企画展概要

会期:平成29年3月7日(火)~5月7日(日)
会場:しょうけい館1階
入場料:無料
開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日は開館・翌平日閉館)

 

関連イベント

水木と上田の証言映像上映
日時:会期中毎日 10:00~17:00 ※3/11(土)14:00~閉館まで上映休止
場所:1階証言映像シアター
内容:しょうけい館が収録した水木しげる夫妻と上田毅八郎の証言映像を上映します。

フロアレクチャー
日時:3月18日(土)、4月8日・22日(土)、5月6日(土) 14:00~14:30
内容:学芸員が企画展の展示解説をします。
*フロアレクチャー限定で、7mにも及ぶ水木しげるの「人生絵巻」全巻がご覧いただけます。
その他:無料・申込み不要

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2017年