4月末に春の企画展の一部展示替えを行いました。会期もあとわずかとなりましたので、既にご覧になったお客様も初めてのお客様もご来館をお待ちしております。

 上田毅八郎(大正9(1920)年~)さんは、戦争中、陸軍の船舶砲兵として6回もの船の沈没に遭遇するなど苛酷な体験をしました。昭和19(1944)年11月、輸送船「金華丸」に乗船中、マニラ港で3日間に渡り敵機の攻撃を受け、一命を取り留めたものの、利き腕の右腕と右足を負傷しました。その後、右手が動かなくなったため、左手で字が書けるよう訓練に励み、帰郷後、家業の塗装業を継ぎました。仕事のかたわら、もともと好きな軍艦の絵を描いていたところ、その絵がプラモデルの箱絵に使われたことをきっかけに、画家としての道を歩むことになります。これまで数多くの作品を制作してきましたが、中でも軍艦などのプラモデルの箱絵は現在も多くの人々に親しまれています。
 本展では、海洋船舶画家として知られる上田さんの画業の原点となった戦争での負傷体験、とりわけ上田さん自身が船舶砲兵として乗船した数々の輸送船や、上田さんが遭遇した海戦などを描いた約40点の絵画により紹介します。輸送船を描くことは自らの使命だと語る上田さんが1枚1枚の絵の細部にこめた想いを、上田さん自身による絵の解説とともにご覧下さい。
 また、今回初公開となる当館制作の上田さんの証言映像を上映します。上田さん自身が語る負傷体験とその後の苦労、画家としての再出発という人生の歩みをぜひあわせてご覧下さい。

会期:平成24年3月21日(水)~5月20日(日)
休館日:月曜日(祝日は開館)、5月1日(火)
会場:しょうけい館 1 階
入場料:無料
開館時間:10:00〜17:30(入館は17:00まで)
主催:しょうけい館(戦傷病者史料館)

シアター上映プログラム

会期中は上田さんの証言映像「がむしゃらに生きて、描く」を含む映像を以下のプログラムにて上映しております。これらの映像は館内のパソコンでも自由に見ることができます。

プログラムA

(上映開始時間:10時~/12時~/14時~/16時~)

1.がむしゃらに生きて、描く(17分38秒)
2.二度の撃沈、受傷、そして発病…(9分58秒)
3.衛生兵の受傷(9分47秒)
4.人生を変えた職業訓練(16分33秒)

プログラムB

(上映開始時間:11時~/13時~/15時~)

1.がむしゃらに生きて、描く(17分38秒)
2.ミッドウェー作戦で負傷して(19分33秒)
3.海軍看護兵 若き日の記憶(14分34秒)

関連事業

1 証言映像「がむしゃらに生きて、描いて」上映会&関連トークイベント

内容:上田毅八郎さんが自らの負傷体験、戦後の画家としての出発を語る証言映像(2010年、しょうけい館制作、約20分)の上映と、上映後に関係者によるトークイベントを行います。
日時:5月5日(土)14:00~15:00
場所:当館1階証言映像シアター
定員:先着30名(電話による事前申し込みが必要です)
備考:参加無料

2 学芸員による展示解説

内容:学芸員が企画展の展示解説をします。
日時:3月24日(土)、4月7日(土)、5月12日(土)
各日とも14:00より約30分
備考:無料、申込み不要、参加自由

しょうけい館&千代田図書館連携展示

「がむしゃらに描いて-海洋船舶画家上田毅八郎のあゆみ-」

日 時:平成24年2月28日(火)~5月20日(日)
     月~金 10:00~22:00
     土 10:00~19:00
     日・祝 10:00〜17:00
場 所:千代田図書館展示ウォール前 ミニ展示コーナー(千代田区役所9階)
休館日:3月25日(日)、4月22日(日)
備 考:入館無料

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2011年