いまから約65年前の戦争で傷つき病にたおれた多くの戦傷病者にとって、戦中・戦後の生活をするうえで、家族の支え、とくに妻の支えをぬきには語れません。戦中には「白衣の勇士」として周囲から勧められて結婚した経緯もあれば、戦後は「傷痍軍人」と知りながらご苦労をともに生活された方など様々です。
本展では、戦傷病者ご夫婦の結婚式・戦中・戦後の写真をおりまぜて、いちばん苦しかったころの想い出を伝える資料と証言映像を展示いたします。昭和36年1月、戦傷病者と知りながら結婚して人生をともに歩んだ、漫画家・水木しげるさんの妻であり『ゲゲゲの女房』(実業之日本社、平成20年)で有名な、武良布枝さんもその一人です。初公開となる布枝さんの「証言映像」、水木さんの「義手」(鳥取県境港市「水木しげる記念館」)を特別展示いたします。併せて千代田図書館では水木さん関連図書も展示します。
戦傷病者ご夫婦が互いを支えあって、誰もが生きることに精一杯だった「昭和」を生きぬいた人生の歩みを、皆さんもたどってみませんか。この展示会で、厳しい時代を生きぬくヒントが見つかるかもしれません。