恩賞制度の一環として、戦傷病者に対して各種の人工補装具が支給されていました。明治10(1877)年の西南戦争で、オランダ製の義肢を支給したのが始まりです。
明治27~8(1894~95)年の日清戦争では、昭憲皇后の「敵味方の区別なく人工手足を」との御沙汰があり、以来「御賜の義肢」として制度化されたのです。明治37~8(1904~05)年の日露戦争後、廃兵院や失明軍人のための盲学校などが設立され、社会復帰の施策が拡充されます。
昭和期には、それまでの審美的な「装飾義肢」に加えて、実用的な「作業用義肢」の開発と職業訓練が本格化します。日常生活、各種の職業、用途別に作業用義肢が製作され、各人の適正と、義肢の特性を踏まえて様々な職業が選択出来ました。
慣れない義肢による職業訓練と社会復帰後の毎日は、あたかも義肢に少しずつ血を通わせて、体の一部にしていく日々だったのです。
本企画展では、館が所蔵する写真、史料、実物を交えて義肢の歴史をたどり、作業用義肢を装着して第二の人生を歩まれた戦傷病者の労苦を偲びます。
会期:平成26年7月23日(水)~9月15日(月)
会場:しょうけい館1階
休館日:毎週月曜日(祝日は開館)
開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
入場料:無料
証言映像(シアターにて上映)
「厳しい訓練も今となれば」(9分44秒)
「小学校を出て先生に」(15分29秒)
「片手のハンデを乗り越えて」(17分48秒)
「働くために義手を」(14分54秒)
「片腕で取った自動車免許」(19分31秒)
「人間の尊厳の回復に尽くした生涯」(33分8秒)
関連イベント
学芸員による展示解説
毎回14:00より30分程度 申込不要
8月3日(日)、8月17日(日)、8月31日(日)、9月14日(日)