2階展示室はいくつかのゾーンとコーナーに分けられます。大型パネルのプロローグを右手に展開する最初のゾーンは「戦争とその時代」です。ここでは徴兵検査を経て、入営・出征に至る過程が三つのコーナーに分けられ、ゆかりの諸資料とパネルをもって展示してあります。

 まず「軍人と徴兵制」では、徴兵検査での甲種合格にまつわる2点の表彰状。ここで表彰の対象となったのは、本人と並んで母親でした。これは、体力・知力に優れた若者が、産み育てた母親と共に表彰されるという、その時代を象徴する一対の資料です。

 次に「入営」では、様々な形状のお守りや、縁取りの紫が目にも鮮やかな入営を祝う幟。そして、餞別受取り帳がこれに加わります。この幟に象徴される華やかさと裏腹の複雑な心模様が、ガラス面に刷り込まれた写真に表れています。当事者のこわばった表情が印象的です。

 そして「出征」では、遺髪・遺言・応召行動予定表といった一群の資料。帽子の形状が特徴的な千人針。そして奉公袋。ここでは、征く者とそれを見送る者、双方の思いが個々の資料に投影され、濃密に凝縮されました。また、出征者の足跡は、軍隊手牒(陸軍)や履歴表(海軍)に記されました。

 最後に、陸軍の軍装品の一部。軍衣・軍袴・巻脚絆といった身に着けるものと並んで飯盒や水筒などが展示されています。装備の総重量はおよそ30㎏にもなり過酷な行軍とあいまって、兵士の体力を著しく消耗させました。



2階展示室 ガラス壁面


「戦争とその時代~出征~」
Related Contents

2006年