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  戦争で足を失ってしまうということは、どういうことなのでしょうか。

 戦場での爆撃により身体の一部が瞬時に吹き飛んでしまった兵士、戦闘中に被弾して傷口から細菌が入り、破傷風やガス壊疽えそ(※)といった感染症にかかってしまい、止む無く切断することになってしまった兵士が多くいました。中国東北部やソ連などの北方地域では、厳しい寒さの中での任務で手足が凍傷になってしまうこともありました。重度の凍傷になると、脂肪や筋肉が壊死してしまいます。

 負傷した際は、速やかに応急処置を行い、医療設備の整った病院へ搬送して手当を施す必要があります。しかし、戦況や部隊の戦闘地域によっては負傷兵の搬送が速やかにおこなえず、壊疽えその症状が進んでしまい、切断しなければいけないケースがありました。搬送中は出血を止めるために水を飲むことが禁じられていたため、負傷兵は激しい痛みと喉の乾きに耐えなければなりませんでした。

※ガス壊疽えそ
 壊疽えそとは、皮膚、皮下組織、筋肉などが腐敗してしまうことで、放置すると敗血症や多臓器不全を引き起こす感染症です。ガス壊疽えそは、損傷を受けた部位から他の部位に細菌が入り込んでガス(毒素)を発生させてしまうものです。

身体から取り出された摘出弾
(寄贈資料より)
陸軍衛生材料本廠製の滅菌ガーゼ
(寄贈資料より)

 足を負傷して切断を余儀なくされた場合、病院に収容され、切断箇所の症状が安定するまでの間は、患者用の手押車(車いす)に乗って移動したり、松葉杖を使ったりして歩きます。
 リハビリは、患部のマッサージや「仮義足」をつけて再び歩く訓練を行います。仮義足は鉄脚とも呼ばれる義足です。歩行距離をのばせるようになると、登山や運動会へ参加し、自転車に乗ることもありました。また、義足で仕事をするための職業訓練も行われました。

切断患者と軍医 臨時東京第一陸軍病院にて
(寄贈資料より)
リハビリ(歩行訓練)の様子
(寄贈資料より)

 退院(除隊)前には、自分の足に合わせて作られた義足が支給されます。
 そこから義足と共に生きる長い人生が始まります。

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