今回のミニ展示では、1944(昭和19)年に制作された宮本三郎画《軍事保護院総裁箱根療養所慰問》(寄贈:独立行政法人国立病院機構箱根病院)を中心として、戦時期における宮本三郎の画業と、描かれた傷痍軍人、箱根療養所についてご紹介します。
宮本三郎は、1905年に石川県に生まれ、1922年に上京して川端画学校洋画部に入学し、藤島武二らに師事し、戦前、戦中、戦後を通して洋画家として活躍した人物です。先の大戦では、陸軍省の従軍画家となって戦地に渡り、多くの戦争記録画を描きました。
《軍事保護院総裁箱根療養所慰問》は、終戦直前の1944年に制作され、第1回軍事援護美術展に出品された作品で、竹刻をおこなっている入所者を本庄繁軍事保護院総裁が慰問する様子を描いたものです。この作品は、43年に4名の皇族女性が療養所を慰問に訪れた際に撮影された写真が基本構図となっており、女性達にかわって総裁が描かれています。箱根療養所は、脊髄損傷の療養を専門とする軍事保護院管轄の施設で、戦争で負傷し、車いす生活となった入所者が暮らしていました。
宮本三郎の紹介コーナーでは、戦争で傷つき、過酷な状況下にある兵士の姿を描いた《飢渇》等を紹介し、宮本の画業の軌跡についても取り上げます。《飢渇》は当館初代館長(戦傷病者)が、戦場での兵士の姿を見事に表したものであるとの思いから、当館での展示を渇望していた作品です。
箱根療養所の紹介コーナーでは、絵画に描かれている箱根療養所ゆかりの品である竹彫(戦後の作品であるが、絵画に描かれているものと同じもの)ほか箱根療養所から寄贈された資料を展示します。
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