令和3年6月15日(火)から7月11日(日)まで、1階展示室にて「ミニ展示~教育紙芝居にみる傷痍軍人~」を開催しています。
今回ご紹介する資料は、当館が所蔵する教育紙芝居、「原っぱの子供達」と「雪晴れ」の二作品です。
教育紙芝居は、日中戦争が始まった1937年から1945年までの期間につくられました。子供向けの伝記や童話、倹約や貯蓄を促す物語、軍人援護の物語、戦意を高揚させる物語など、極めて多様な種類がありました。このような紙芝居の多くは、「日本教育紙芝居協会」によって発行されました。先生や職員が読み手となる訓練をした後、小学校など地域の中で使用されました。
数多くの教育紙芝居の中でも、今回展示する二つの作品は、傷痍軍人がテーマの物語です。「原っぱの子供達」は昭和14(1939)年、軍人援護や保護を担当していた傷兵保護院(1937年設立)の指導のもと、製作されました。「雪晴れ」は、昭和15(1940)年に傷兵保護院の後身である軍事保護院(1939年設立)の指導のもと、製作されました。前者は右肩を、後者は左足を受傷している傷痍軍人が描かれています。
このような教育紙芝居は、終戦時に大量の作品が焼却、廃棄されたと考えられています。そのため、現存している当時の紙芝居は、紙芝居教育について考える貴重な機会になるのではないでしょうか。二つの紙芝居に登場する資料を中心に、動画とともにご紹介します。