実物資料の紹介を続けます。このたびはスケッチの2回目です。
現在、常設展示室の「救護・収容」コーナーには、壁面に色調の濃い四点のスケッチが複製にて展示されています。そこには、仮繃帯所の実態やろうそくの灯りの下での手術風景などが描かれています。もとより、この原画はごく小さなものであり、しかも色調も淡いものですが、最前線での傷病者救護の一端を今に伝えるものであることに変わりはありません。また、各作品には背景情報が描き手によって、詳細に記されています。
作品より明らかなように、描き手は救護・収容をその任とする隊附の衛生兵でした。昭和18年12月の出征以降、描き手は上海、高雄、そしてサイゴンを経てプノンペンに到達。その後、空襲に遭遇しつつも鉄道によりビルマに至ります。ここより以降が、スケッチの対象となります。展示の4作品は、昭和22年7月の復員までの隊附衛生兵としてビルマで体験した事柄を、近年(平成17〜18年)に至り描いたものの一部でした。
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