戦地における各種の患者搬送手段

 患者飛行機を使用した患者搬送手段は、当時としては画期的でしたが、戦時以外の任務や維持費の問題もあり、まとまった数量の配備や運用は難しかったようです。
 野戦において、最初に戦傷病者が集められるのが患者集合点や仮包帯所です。
 独歩(自分で歩ける患者)はともかく、怪我や、高熱に苦しむ患者は戦友の手を借りて移動することになります。開設された患者集合点や仮包帯所に、飛び交う銃弾を避けて移動するのはただでさえ困難です。そんな時に頼りになるのが戦友の存在です。
 ただし、戦傷病者どうしならともかく、健常な兵士が戦場を勝手に離脱すると重大な違反行為になります。そこで指揮官から介助の許可を受けてから出発するのです。
 意識のない状態では、介助者の負担も大きくなります。そのため、椅子や背負子などの応急の運搬具を使用するなど、様々な工夫がされています。


背負子を利用した搬送

日露戦争時(1904~1905年)の臨時包帯所

 春の企画展「一刻も早く!」では、患者搬送手段の一つとして、戦友による戦傷病者の搬送手段ほか各種の搬送手段をご紹介する予定です。
 皆様のご来館をお待ちしております。

【小景(しょうけい)第24号】

 

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2015年